百聞は一見に如かず。
タップダンスの魅力は、語るよりも見てもらった方が伝わるはず。
ということで、この記事ではおすすめのタップダンスが登場する映画8選を紹介します。
タップダンスが登場する映画 おすすめ8選

おすすめタップダンス映画① TAP
その名の通り、タップダンスを全面的にフィーチャーした映画です。
主演はタップダンスの神様グレゴリー・ハインズです。
彼の天才的なタップダンスは間違いなくこの映画の目玉の一つですが、見所はそれだけではありません。
タップダンスの暗黒時代にステップを踊り継いだ伝説の「マスター」と呼ばれるタップダンサー達が、この映画には多数出演しています。
彼らはもうそれなりの高齢ですが、若者でも踊れないような高速ステップやアクロバットなタップダンスを披露します。
そして後に世界最高のタップダンサーとなる幼き日のセビアン・グローバーも、その才能の片鱗を見せつけるタップダンスを踊っています。
グレゴリー・ハインズは自身も素晴らしいタップダンサーであり、またトニー賞を受賞した実力派の俳優ですが、彼の真の功績は時代の影に埋もれそうだったマスター達のタップダンスをこの映画を通して世に知らしめたことでした。
ストーリーは泥棒で捕まった天才タップダンサーが出所後タップダンスを通して輝きを取り戻して行くという、良い意味でベタなストーリーです。
この映画のマスター達のタップダンスを見て、プロのタップダンサーになったという人も少なくありません。
まさに全世界のタップダンサーのバイブルと言える映画です!
おすすめタップダンス映画② 座頭市

北野武監督、ビートたけし主演の映画です。
観客動員数200万人、日本アカデミー賞多部門受賞、ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞受賞など、武さん最高のヒット作&名作となった一本です。
タップダンスが登場するのは、映画のラストの祭りのシーンです。
和太鼓、着物、さらに和テイスト溢れる音楽に合わせて下駄でタップを踏むという、欧米文化のタップダンスと日本文化を融合させたオリジナリティ溢れる振付となっています。
日本のタップダンスの一つのあり方を体現した、金字塔的なシーンとなっています。
この振付で世界的な評価を得て一気にスターにのし上がったのは、今や日本を代表するタップダンサーとして広く知られるHIDEBOHさんです。
彼はこのシーンの中心人物として素晴らしいタップダンスを披露しています。
ソロで踊る三人の最後に出てくるのがHIDEBOHさんで、他の二人も彼の元で修業を積んだ日本トップレベルのダンサーです。
TAPのマスター達が踊るシーンと同様に、このシーンを見てタップダンスを始めたという方も多くいます。
日本でタップダンスを踊るなら、一度は見ておかなければならない一本です。
それと、この映画はタップダンスを抜きにしても名作です。
ビートたけし扮する盲目の剣客市が、不思議な縁で知り合った二人の芸者の親の仇打ちをするためにヤクザと戦う物語です。ヤクザの用心棒には浅野忠信が配役され、病気の妻のために身を捨てて戦う彼の姿にも泣かされます。
ストーリー、タップダンス、共に充実の名作映画です!
おすすめタップダンス映画③ 雨に唄えば

どしゃ降りの雨の中でジーン・ケリーが陽気にタップダンスを踊るシーンは、映画史上に残るあまりにも美しく有名なシーンです。
ジーン・ケリーはハリウッドを代表するミュージカル・スターであり、そのタップダンスは世界一のダンサーと称されたフレッド・アステアに勝るとも劣らない美しさです。
この時代のミュージカル映画の俳優は、超人的なダンスをいとも簡単そうにさらっとこなしています。
あのマイケル・ジャクソンが憧れて毎日ビデオが擦り切れるまで見ていたのがこの世代のダンサー達ですから、そのレベルの高さは凄まじいものです。
正直、ダンスのレベルの底上げが成された現代でも、ジーン・ケリーのように踊ることができるダンサーはいません。
またこの映画で彼と共演しているドナルド・オコナー、デビー・レイノルズのタップダンスも圧巻です。
三人で踊るシーンは、ディズニーランドにでも来ているみたいに愉快な気分になれます。
ストーリーは、サイレント映画全盛のハリウッドにトーキー映画流行の波が押し寄せ、その時代の渦の中で急遽サイレント映画をトーキー映画に作りかえる俳優達や映画制作会社のドタバタ劇となっています。
テンポ良く進むラブコメディ映画ですが、その中で当時のスター達のダンスや歌唱を楽しめる最高のエンターテイメント作品となっています。
もちろん今の映画と比べれば、映像もストーリーも古い感じはあります。
でもベタなストーリーでも、芸の力があればこんなに楽しく見れるんだ、と改めて実感させてくれる一本です。
ミュージカルタップの最高峰を見たい方にお勧めの映画です!
おすすめタップダンス映画④ トップ・ハット

世界一のダンサーと称された、フレッド・アステアが主演を務めるコメディ映画です。
ダブル主演のジンジャー・ロジャーズとのペアダンス、ステージ上でのアステアのソロダンスは、ハリウッドミュージカルのダンスシーンにおいて最高クラスの完成度の高さになっています。
何故あんなに軽やかに、簡単そうに、あんな美しい身のこなしと足音を実現できるのか?
タップダンスを習ったことがある人なら誰でも、アステアの天才ぶりには驚かされることでしょう。
彼のタップダンスの魅力は気品あふれる身のこなしと、芸の神髄を極めた美しい足音ですが、ステッキなどの道具を使った振付などのアイデアも素晴らしいです。
またジンジャー・ロジャーズへアプローチする彼のおちゃめな演技も、チャーミングでとても素敵です。
ストーリーはダブル主演の二人に勘違いが生じ、本当は思い合っている二人が破局の危機を迎え、それをアステアが必死にに阻止しようと奔走する内容になっています。
雨に唄えばと同じくベタなストーリーではありますが、俳優たちの実力により最後まで飽きることなく見ることができます。
タップダンスに選ばれた天才による、タップダンス映画の最高峰です!
おすすめタップダンス映画⑤ホワイトナイツ

TAPでも主演を務めたグレゴリー・ハインズと、当時世界最高のバレエダンサーの一人であったミハイル・バリシニコフのダブル主演映画です。
この映画の何が凄いって、世界的なバレエダンサーと、リズムタップのダンサーが肩を並べて共演したことです。
実はリズムタップというジャンルは、奴隷制や人種差別の中で発展してきたこともあり、当時まだ芸術としての正当な評価を受けていませんでした。
ハリウッドミュージカルのスターも全員白人で、リズムタップではなくミュージカルタップが芸術的な評価を受けていました。
しかし、ジーン・ケリーやフレッド・アステアといった白人スターにタップダンスのステップを教えたのは、実は黒人のリズムタップのダンサーだったのです。
その隠された歴史を考えると、この映画で黒人のリズムタップが白人のバレエと同じように芸術的な評価の対象になったことは、歴史的な出来事でした。
ストリートダンサーからもバカにあれることのあったタップダンスが、特に品格高いバレエと一緒にフィーチャーされた時は、多くのタップダンサー達が涙したことでしょう。
二人のペアダンス、ソロダンス、共に言うまでもなく当時世界最高のダンスです。
僕も百回以上見ました。
ストーリーも芸術愛が溢れており、ソ連を亡命した過去を持つバレエダンサーと、ソ連へ亡命してきたタップダンサーが、人種、芸術的信念、国籍などの違いを超えダンスを通して魂の交流を深めていく過程を描いています。
人間は通る道が違うだけで、全ての者が同じ山を登っている。
二人のダンスを目の当たりにすると、その言葉を思い出さずにはいられません。
グレゴリー・ハインズの自由なステップは、タップダンスに大きな転換期をもたらしました。
その歴史的シーンを目にすることができる、最高ダンス映画です!
おすすめタップダンス映画⑥ ハッピーフィート

タップダンスが得意なペンギンを主人公にした、冒険映画です。
でもこれCG映画なんで、タップの足の動きは細かく勉強できないんですけど(笑)
ただ何が凄いって、このペンギンのタップダンスの動きは、現代タップダンス界最高のスターであるセビアン・グローバーのステップをCG解析したものなんです。
なので、この映画に登場するタップダンスの足音、グルーブは超ハイクオリティです。
またタップダンスという踊りが、どれだけその場の雰囲気を明るくするかを実感できるのも、この映画の素晴らしいところです。
ストーリーもけっこう面白くて、歌で求愛するのが当たり前のペンギンたちの中に、音痴だけどタップダンスが得意なペンギンが生まれてくるんです。
そのペンギンが氷山から落下して、流れ着いた先で愉快な仲間と出会い、冒険が始まります。
故郷に戻ると求愛のシーズンが訪れていて、音痴な主人公は悪戦苦闘。
タップダンスでようやく皆の心を掴んだと思ったら、今度は魚が取れにくくなった原因の汚名を着せられてしまいます。
冒険の中で出会ったエイリアンが本当の原因だと思った主人公のペンギンは、再び冒険へと繰り出す。。。
みたいな(笑)
普通のCGアニメ映画としても面白いですし、そこにセビアンのタップダンスが出てくるんですから、終始ごきげんに見れちゃいますよ!
タップダンスが持つ場の空気を変える力を感じたい方にお勧めの一本です!
おすすめタップダンス映画⑦ タップ・ドッグス

実話を基にして作られた、オーストラリアのタップダンス映画です。
2000年のシドニー・オリンピックの開会式でタップダンスを披露したタップダンスチーム、タップ・ドッグスによる作品。
タップ・ドッグスのリーダー&振付師であるデイン・ペリーの半自伝的なサクセスストーリーに、彼を取り巻く家族や仲間との葛藤、絆を描くフィクションを交えた青春ストーリーになっています。
青春ものなのでベタなところもありますが、実話を基にしていると思うと、人間って本当にこんなに熱く格好良く生きられるんだなと感動させられます。
見所は、トイレの便器や働いている製鉄所の機械など、身の回りにある全ての物を楽器にしてタップダンスの足音を奏でていくアイデアとエネルギーです。
黒人ダンサーの妙技とは違い、Tシャツやデニムなどのファッションも含めて、ストリート感溢れるシーンが印象的です。
スーツに蝶ネクタイのフォーマルスタイルだけでなく、こういうラフな見せ方もタップダンスにはできるんだぜ!
っていう格好良さは、是非これからタップダンスに本格的に打ち込もうとしている若い方に見て頂きたいです。
タップダンスのほとばしるエネルギーを感じたい方は必見の一本です!
おすすめタップダンス映画⑧ TAP THE LAST SHOW

水谷豊監督・主演のタップダンス映画です。
かつて日本でこれほどまでにタップダンスを全面的に押し出した作品があっただろうか(笑)
出演者には本物のタップダンサーが数多く起用されています。
それだけにタップダンスのシーンは超本格的です。
怪我によって一線を退いた天才老ダンサーが、旧知の劇場支配人からの頼みで劇場の最後を飾るタップダンスショーの演出を引き受けます。
はじめは乗り気でなかった老ダンサーは、集まった数百名の若手ダンサー達の熱い想いに心を動かされ。。。
なんかタップダンス映画って、どうしてもベタなストーリーになっちゃうみたいなんですけど(笑)
でもその真っ直ぐさが、タップダンスをはじめとするエンターテイメントの良いところなんでしょうね。
とにかく、ラストのタップダンスシーンは圧巻です!
メインの若手ダンサー役を務めた清水夏生さんは、幼いころから天才キッズダンサーと呼ばれた日本を代表するタップダンサーの一人です。
日本のタップダンス界の底力を目の当たりにしたい方は、是非この映画を観て下さい!
この記事では、タップダンスが登場する映画おすすめ8選を紹介しました。
どの映画もタップダンスの魅力を感じられる素敵な作品です。
たった一本の映画との出会いが、人の人生を大きく変えることもあります。
この記事で紹介した作品は、多くのタップダンサーに影響を与えてきた名作ばかりです。
タップダンスに興味を持っている人も、そうでない人も、これらの作品を観ればきっとタップダンスの魅力の虜になることでしょう!!